呼吸は、身体の自然機能の一つです。そして人が生きていく上で根本をなすものと言えます。
一方で、自然機能の中でも唯一自分で調節することができる機能でもあります。ゆっくりさせたり、早くさせたりと自分の意志で変えることができる身体機能です。
呼吸法は、体の自然な機能をより有効に活用させ、自律神経の適正や体内温度を保つといった養生・温養の核となる方法です。
呼吸法の目的は、身体の不調を整えつつ、病気になりにくい身体ををつくる事です。
そのために2つのことを目指します。
呼吸をコントロールして
身体を緊張から解放させること
体内を動かして体温をあげること
呼吸法によって呼吸の早さや深さを調整します。
それにより信号がホルモンや自律神経に働きかけられ、交感神経と副交感神経のバランスが保たれます。それが気持ちの安定につながります。
日々忙しい人ほど交感神経が優位になりがちです。そのため身体が緊張しています。
そこで、仕事中軽い休憩をとる場合に、呼吸法を取り入れてみます。
横隔膜は自律神経のセンサーの役割をしているため、横隔膜がしっかり動くと副交感神経を誘導させ、日中高ぶった交感神経を静めるのに役に立ちます。
呼吸法は、1日に何回と回数を決める必要はなく、疲れたときや緊張が続いたときに行います。
例えば、脳において機能的に集中力を保てるのは90分程度だと言われています。
そのため、集中して仕事を行う場合は、90分ごとに15分程度の休憩をいれるのが効率的です。
その際、呼吸法を取り入れると、副交感神経が高まり全身の毛細血管が開くため、脳疲労となるストレスを軽減させることができます。
集中力を低下させることなく、仕事の効率性を高めます。
呼吸法の基本となるのは、腹式呼吸です。
横隔膜を動かすことがポイントになります。
お腹をしぼるようにへこましながら、ゆっくりと鼻から息をはく。それから吐いた息がとまるところで、静かに鼻から息を吸っていく。その時にお腹はゆっくりと膨らまします。
横隔膜は筋肉のため、深い呼吸によって伸縮を繰り返されると内臓がもまれ代謝をよくさせ、血流の巡りもよくなり体温もあがります。
通常の呼吸は無意識に行われています。
普段、呼吸は脳の延髄にある呼吸中枢でコントロールされますが、呼吸法のように意識して呼吸をする場合は、大脳皮質によってコントロールされます。
大脳皮質が呼吸筋に働きかけることによって、自らの意志で呼吸の深さ、早さを調整できるようになります。
自らの意志で呼吸をすることによって、体の緊張を解放し、体温があがるようにします。
それが身体の生命力を高め、不調を整えつつ、病気になりにくい身体をつくることにつながっていきます。
「呼吸法」でガンは流せる 椎名由紀著 kkロングセラーズ 2015。
「ハーバード&ソルボンヌ大学 根来教授の超呼吸法」 根来秀行著 KADOKAWA 2018
◇本内容においては、個人差があり、何かをあるいは品質・効果を保証するものではありません。お読みいただいた方々が、ご自分にあった温養・養生方法を見つけていただければと思います。