野菜には健康に貢献する力があります。
最近よく目にするのが抗酸力という言葉です。
野菜が持つ力を大きく分けると3つあげられます。抗酸化力、免疫力、解毒力。
今回は抗酸化力に注目してみます。
人は呼吸で空気を吸い込みます。この時空気には約20%の酸素が含まれています。酸素は食べたものをエネルギーに変えるために必要になります。
体内に取り込まれた酸素の2%が通常の状態よりも活性化された「活性酸素」というものに変化します。[*1]
活性酸素には良い点と良くない点の両方があります。
良い点は、白血球から産生される活性酸素は、体内に入ってきたウィルスを退治して体を守る働きがあります。
良くない点では、この活性酸素が過剰になる、つまり余分な活性酸素がある状態(酸化ストレス)では、細胞膜を傷つけ、がんなどの疾病を誘発したり、老化現象の加速、生活習慣病の原因にもなります。
食べ過ぎ、ストレス、タバコ、加齢などが、余分な活性酸素を増やす要因と考えられています。
この余分な活性酸素を消去あるいは無害に変える力が、「抗酸化力」です。
人の体内にはもともと抗酸化力(抗酸化酵素)が備わっています。ただ、加齢とともに抗酸力が弱くなります。特に40歳代以降は抗酸化酵素を作る力が弱くなり、抗酸化物質(活性酸素の発生やその働きを抑制したり、活性酸素そのものを取り除く物質)の働きが急激に低下します。
そのため、がんなどの病気にかかりやすくなったり、老化も進むようになります。それを防ぐために抗酸化力を摂取していく必要があります。
では、抗酸化力をどこから得れば良いのでしょうか?
そこで有望なのが野菜です。ビタミンC、ポリフェノール、カロテンといった抗酸化成分(ファイトケミカル)を野菜が多く含んでいるからです。この抗酸化成分を含む野菜を摂取することで抗酸化力を高めることができます。
もともと野菜は太陽の光線を浴びて育ちます。その紫外線は強い力があり、野菜はこの光線から身を守るためにファイトケミカルと呼ばれる抗酸化成分を作り出しています。それを取り入れようということです。
活性酸素には種類があり、主に次の3つがあげられます。
スーパオキシド、ヒドロキシラジカル、一重項酸素です。
スーパーオキシドは、呼吸しているだけで発生します。ヒドロキシラジカルは、このスーパーオキシドが変化したものです。一重項酸素は、紫外線を浴びると発生するものです。
では、実際に抗酸力の作用を見てみましょう。
増加した活性酸素による酸化を抑えることを抗酸化といい、活性酸素から体を守ることを抗酸化作用といいます。
活性酸素は体内の酵素によって分解され無害となります。しかしこの活性酸素の量が多いと無毒化が間に合わず細胞が傷つけられてしまいます。その場合、酵素と同様に、抗酸化物質も活性酸素の働きを抑えて活性酸素から体を守る働きをしてくれます。
抗酸化物質は酸化されやすい物質です。そのため、活性酸素によって細胞が酸化されるよりも、抗酸化物質が優先的に酸化されます。抗酸化物質自身が酸化されることで、細胞が無傷でいられます。結果、体を酸化がら守ってくれることになります。[*2]
代表的な抗酸化物質は以下になります。
< >内は該当の抗酸化物質を含んている野菜の代表です。※特に緑黄色野菜は抗酸化物質を多く含んでいます。
抗酸力
トマト、玉ねぎ、ニンジン、ほうれん草 ゴーヤ、とうがらし、かぼちゃ、ブロッコリー、なす、ピーマン、アスパラガス、
柑橘類、温州みかん、りんご、もも、さくらんぼ、イチゴ、ぶどう、柿、ブルーベリー、スイカ、バナナ、メロン
免疫力等
トマト、玉ねぎ、ゴーヤ、とうがらし(エネルギー代謝)、かぼちゃ、ブロッコリー(解毒力)、なす、アスパラガス(解毒力)、
りんご、スイカ、バナナ、メロン(酸素力)
以上のように、抗酸化力の高い野菜を摂取することによって、生活習慣病を始め、がん、老化など40歳以降に顕著に出始める体の不調をできるだけ緩和する手助けになります。
野菜は身近な食材ですが、野菜の力は侮れません。
1. 厚生労働省 e-ヘルスネット[情報提供]活性酸化と酸化ストレス https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html
2. 厚生労働省 e-ヘルスネット[情報提供]抗酸化物質(こうさんかぶっしつ) https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-009.html
3. データが語るおいしい野菜の健康力 及川紀久雄著、丹波真清著、霜田増雄著 丸善出版株式会社 2012